東京で生きていくための自己犠牲と単発求人

東京をはじめ、田舎を離れて都会で働く人の中には、夢の実現のため、もしくはやりたいことを探すため、時間に融通の利く単発的な仕事を選んでいます。
東京でミュージシャンを目指し、不安定な収入でライブ活動に精を出す若者は、単発的な仕事を空いた時間にこなし生活費を稼いでいます。
時にはその日の生活費も当日のバイトで賄います。そういった若者向け求人の中には、『一日~OK、単発一日OK』など、その日その場だけの仕事が多々あります。

しかしそういった仕事現場での人間関係は厳しく、たった一日の勤務と分かると理不尽に扱われたり、大変な仕事を一人でこなすよう指示されることも少なくありません。
周りに助けてくれる人はおらず、生活費の為に自己を犠牲にしその場を耐え凌ぎます。
なぜ、一日のみの求人が成立するのか、答えは現場にあります。
過酷な労働環境や割りに合わない報酬でスタッフが定着せず、猫の手も借りたい程の忙しさが存在します。
確かに働きたいときに一日単位で働け、すぐに報酬を手にすることができるのはとても都合のいいことです。
そして募集する側の企業にとっても、単発的な求人を出すことでシフトの穴を埋めることができます。

東京で夢を追いかけたり、やりたいことを探す彼らには何にも縛られず自分を探し表現する代償に、今日も一日限りの即戦力として自分という個性を殺し黙々と作業をこなす矛盾した現実があることを知っておくべきかも知れません。